キャレたんと一緒にインフラ講座
05 インフラ x 水

知らぬ間にお世話になっている下水道、縁の下の力持ちをみんなで支えよう

毎日お世話になっている下水道が危機を迎えているのをご存知ですか?
施設の老朽化や安定的な維持管理が難しくなるなど、各地で深刻な社会課題を抱えています。特に地方では人口減少に伴い、財源不足や自治体下水道職員の不足など設備の更新や充分な点検の実施が難しくなっています。このままでは、雨水を速やかに排出する事ができず洪水のリスクも高まり、生活環境悪化だけでなく、生態系をも脅かし、おいしいお魚や海藻が食べられなくなるんです。
こうした課題を克服するために、公共と民間が協力する「ウォーターPPP」という取組が注目されています。未来のために下水道事業にどのような変化が求められているのでしょうか?

下水道処理施設が老朽化を迎え、まさに逼迫した状況を迎えている

弥生時代から雨水を流すために始まった日本の下水道処理施設。明治時代に多くの伝染病が流行ったこともあり、1922年に日本初の近代下水処理施設場が誕生しました。戦後、都市部を中心に当時としては高度な処理技術が導入され、一気に普及が進み、長年私たちの生活を支えてくれています。その下水道処理施設は老朽化が進み、下水道処理施設は9割が15年を経過し、2021年度時点で50年以上経過した管路が約3万kmと言われ、耐水化や持続可能な事業運営が急務となっています。

その対策として、国土交通省から官民が連携して施設の管理・更新を一体的に行うことで、持続可能な水インフラの整備・運営する「ウォーターPPP」の導入検討が発表されました。汚水管の改築に係る国費支援に関して2027年には要件化される予定です。人口減少、高齢化、施設老朽化、財政負担増大などの課題に対応するため、官民連携による効率的な運営を目的とし、全国各地で導入が進んでいます。

インフロニアの挑戦:三浦下水道コンセッション株式会社

いち早く、「ウォーターPPP」を実施したのが神奈川県三浦市です。神奈川県三浦市は、1966年の京浜急行電鉄「三浦海岸駅」の開通以降、都市化の波が押し寄せ人口が1983年には5万人を超えました。それとともに排水の流出量が増加し、自然浄化能力をこえ、水質汚水など水環境対策が大きな社会問題となりました。そこで、1977年に下水路を計画し、維持管理を行っていましたが1986年に現行の第六次下水道整備五箇年計画が開始され、全国に下水道整備が推奨されると1987年から三浦市も調査を実施し、1998年8月に一部供用開始され現在に至ります。

整備されたインフラは、維持管理・運営を継続的に行い、老朽化した施設は適切な修繕や改築更新を行わなければなりません。しかし、1994年には54,350人いた人口が2025年3月現在39,259人(三浦市役所 政策部 デジタル課)と28%減少しており、総務省 国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所の発表した「将来推計人口(2023年12月公表)」によると2050年には23,300人とますます減少傾向にあると予測されています。つまり、財源となる税収も下水道使用料の収入も減少するのです。運用が開始されてから20年以上経過し、施設設備共に老朽化が進行しているだけでなく、その維持管理・運営のために必要な人材の不足など様々な問題を抱えています。

この課題に対処するため国交省が推奨する官民連携のコンセッションを三浦市は2020年に導入を決定し、2022年12月(R4.12.28)に三浦下水道コンセッション株式会社と契約を締結しました。これにより、官民力を合わせ現場のノウハウを活かし、財政負担の軽減と事業継続に向けた維持管理・運営が強化されています。下水としては国内4番目の事例ですが、管路の維持管理・更新を含むものとしては国内初であり、導入を検討している全国の自治体からも注目されています。また、官民が連携することによってより自由度の高いインフラサービスへの発展と地域経済を含め三浦半島エリアを活性化させていくことで「選ばれるまち」の実現と下水の安心安全を守り続けています。

みんなも協力しよう!

安心安全を守るためにも市民の皆さんの協力は不可欠です。自分の住んでる場所のお祭りやイベントに参加することも地域を盛り上げることも市民の大事な役割です。
その他にも、排水する時に流しても良いものかを考えることも私たち一人ひとりができることです。油を流すと固まって下水管にくっつき、水の流れを塞いでしまうこともあります。また、道にゴミを捨てるのも下水管に一緒に流れることで下水管をつまらせえしまう原因になるのです。食器などについた油は一度拭いてから流したり、道にゴミを捨てないなど、一人ひとりが気をつけることでまちの下水管の劣化を遅らせることができます。ご協力お願いします。

さらに探求しよう!

■ 国土交通省―下水の維持管理―

■ 三浦市公共下水道(東部処理区)運営事業(コンセッション事業)の概要について(令和5年4月24日三浦市上下水道部)

■ ウォーターPPP導入検討の進め方について(国交省)

■ インフロニア【鼎談企画】三浦の下水道コンセッション